鬱金(うこん)について

 

役に立つ身近な 食品・生薬

 

~ 鬱金(うこん)について ~

 

1.ウコンの生い立ち

原産地は、南アジア・インドとされています。

栽培地は、南アジア・スリランカ・インドネシア・タイ・ミャンマー・ベトナム・マレーシアなどの熱帯から亜熱帯の多雨地

 

Ukon ウコン(鬱金、欝金、宇金、郁金、玉金)神奈川県葉山の畑で作っていて秋ごろに収穫した鬱金 写真提供:川崎宮前ガーデニングクラブ ウコンの花:11月頃

神奈川県葉山の畑で作っていて秋ごろに収穫した鬱金とウコンの花(11月頃)

 

2.日本への渡来

日本へは最初は沖縄に伝わりました。

17世紀琉球国が、明朝へ進貢船を出して貿易をしていたころ、明の市場でウコン・春ウコンを買い求めて琉球に運んだといわれています。

琉球が1609年薩摩藩の軍に侵略され、貢物として江戸に送られたウコンの人気が高かったため生産量を増やし輸出されるようになりました。

1967年黒糖と共にウコンは、薩摩藩による専売が許可されたと記されています。

 

スライスして乾燥してある写真は愛知県産で、これを粉にしてお酒を飲む前または後に 健康のため小さじ1杯くらいを水または湯で飲んでいるとのこと

愛知県産、スライスして乾燥し、これを粉にしてお酒を飲む前または後に、健康のため小さじ1杯くらいを水または湯で飲むと良いとのこと。

 

3.漢方薬としての使い分け

中国では生薬としては、ガジュツや春ウコンが主流になっていて、ウコンは春ウコンにつぐものとして扱われています。

現在世界には50種類ものウコンの仲間がありますが、薬用・健康食品・薬膳などに多く用いられるのは、秋ウコン・春ウコン・紫ウコンの3種類をさすことが多く、肝臓強化や二日酔いなどに用いられるのは、秋ウコンのことです。

 

粉末にしたもの3種類で左から春ウコン、秋ウコン、紫ウコンだ

粉末状の春ウコン、秋ウコン、紫ウコン

種類別一覧表
種類 性味帰経 効能 応用 その他

秋ウコン(鬱金)

辛苦

心肝胆

活血止痛

行気解鬱

涼血清心

利胆退黄

肝気鬱結などに用いる。

肝気の流れをよくし、鬱を解き活血させて痛みをとる。

*正式名を[鬱金]という。

肝臓によいとされる有効成分クルクミンを、春ウコンの約10倍以上も含有しているといわれている。

*クルクミンは水に溶けにくく吸収率はよくないが、レシチンと共に摂ると吸収率も上がるので、インドではカレーと豆を一緒に食べることが多い。

春ウコン

(姜黄;ターメリック)

辛苦

肝脾

破血去瘀

行気止痛

気滞血などの胸脇部の疼痛、生理不順、生理痛
閉経、五十肩、リウマチ
外傷損傷

※薬膳としてもよく使われ一般的にカレーや、着色料としても使われる。

*正式名を[姜黄]という。インド原産。

精油成分やミネラルが豊富に含まれており、秋ウコンと同様に肝臓によいとされている。

総合的に健康維持の目的には春ウコンが適しているといわれている。

紫ウコン

我朮(がじゅつ)

辛苦

肝脾

破血去瘀

行気止痛

気滞血瘀の生理痛、腫塊、通経薬、消化不良の 腹部の疼痛、駆風、健胃

※薬膳としてはあまり使われない

*正式名を[我朮]という。ヒマラヤ山東部の原産。亜熱帯に自生している。1995年琉球大学により導入される。現代では、ピロリ菌の除去作用が強いといわれている。

*いも(根)は薄い青色、乾燥したいもにはシオネールなどの精油成分が含まれている。春ウコン・ウコンに含まれるクルクミンは含まれていない。

*シオネールは胆汁分泌促進や、健胃・殺菌・防腐などの機能がある。また、腰痛・肩こり・ニキビ・シミなどに効果があるといわれている。

参考図書:薬用植物栽培全科 原色和漢薬(難波恒雄著)など

 

参考図書: 薬用植物栽培全科 原色和漢薬(難波恒雄著)など

 

 

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